【やさしく学ぶ】機械加工の基礎知識 熱処理編

熱処理

熱しやすく冷めやすい?冷めにくい?

製造業の多くは、材料を加工して形を変えることをその主な仕事としています。つまり、工作機械を使って行われる様々な機械加工は、製造業の中心的な役割と言えるわけです。
これまでの記事(切削加工成形加工接合加工特殊加工)で紹介してきた機械加工は、上述のとおり、材料の形を変えることを目的としていました。
しかし、ものづくりは奥が深く、このように材料の形を変える加工のほかにも、材料の性質や特性を変化させる処理、というものもあるのです。

材料、特に金属材料においては、硬いものほどもろい、という性質があります。硬いと傷や変形に強いのですが、ある程度以上の力がかかると突然折れる、割れるといった破壊が起こります。
※金属ではありませんが、ガラスをイメージいただくとすると分かりやすいと思います。
機械材料としてはこれでは困るので、「硬くてかつ粘り強い」という性質が要求されます。そのような性質を実現するために、「熱処理」と呼ばれる処理を材料に施すことが一般的です。

今回はその熱処理について、主にどんなものがあるかを見ていきましょう。

熱処理の種類

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1. 焼入れ
2. 焼戻し
3. 焼なまし
4. 焼ならし

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1.焼入れ

焼入れ

金属材料を熱して、高温の状態にしてから、急速に冷却する処理のことです。
機械構造用の炭素鋼を例にとると、高温の状態とは800~900℃以上。急冷は、水または油(材料の化学組成によって異なる)につけることによって実現します。
焼入れを行うことで、その金属材料の耐摩耗性、引張強さ、疲労強度などを向上させることができます。分かりやすく言うと、「硬くなった」状態です。
ただし、この状態では上で書いた通り、硬いけど「脆い(もろい)」状態でもあり、耐えられる強度以上の力が加わると曲がるのではなく、折れるという壊れ方をします。
この状態のままでは金属材料としては非常に扱いづらいので、通常は次に述べる焼戻しとセットで行われる処理方法です。

2.焼戻し

焼戻し

前述の焼入れよりも低い温度に熱して、焼入れによって硬く、かつ脆くなった金属組織に本来の靭性(じんせい)、つまり粘り強さを取り戻させる処理のことです。
機械構造用の炭素鋼を例にとると、熱する温度は低いもので150~200℃、高いもので550~650℃と、かなり違いがあります。
冷却も焼入れのように液体を使って短時間に急速に冷却するのではなく、一般的には比較的時間をかけてゆっくりと冷却します。
とはいえ、空冷(熱する温度が150~200℃の場合)、強制空冷(急冷、熱する温度が550~650℃の場合)と、こちらも熱する温度同様、材料によって違いがあります。
この熱処理は通常、焼入れとセットで実施され、材料に硬さと強さを両立させます。

3.焼なまし

焼なまし

焼入れ、焼戻しとは異なり、材料を柔らかくしたり、材料の内部に残る加工時の応力を除去したりする目的で実施する処理のことです。
処理温度は比較的高く、機械構造用の炭素鋼の例では800~900℃です。
冷却速度は焼戻しよりさらに遅く、炉から出さずに中に置いたままゆっくりと温度を下げていきます。
焼入れ、焼戻しで硬く粘り強くなった材料は、切削などの機械加工が非常にやりにくい状態になっているので、その加工性を向上させる目的で実施されることが多いです。

4.焼ならし

焼ならし

材料を所定の高温まで熱し、空冷でゆっくりと冷却することで、その材料、素材の持つ本来の結晶構造を取り戻す処理のことです。
・・・と書くと分かりにくいので、多少の不正確さを承知でもう少し簡単に説明すると、材料の状態を細かく均一化する(ならす)、ということです。
加工時、材料の場所によって硬さや脆さが異なると、精度の高い加工が難しくなりますので、これを避けるための処理と言えます。
処理温度は焼なましや焼入れ同様高く、機械構造用の炭素鋼の例では800~900℃以上。
冷却は空冷で、冷却速度は焼なましよりは早く、焼入れよりはゆっくり、となります。

~参考文献~
機械加工の知識がやさしくわかる本(Amazon)
機械材料学 社団法人日本材料学会

高温に熱して冷ます熱処理は、名前もよく似ているうえ、処理方法も基本的には同じ、違うのは温度と時間という、なかなか覚えにくくで区別が付けにくいものです。
しかし、その材料に現れる熱処理の効果は、処理方法によって全く異なるという、きわめて興味深いものなのです。

できるだけ直感的に把握できるよう、今回はイラストに力を入れて説明を試みましたが、皆さんのご理解のお役に立てたでしょうか。
例えば、日本刀を鍛える時、熱して叩いてジュっとやりますね。あの作業がそれぞれ何を目的としているのか、今回の記事と以前の鍛造の記事から、何となくイメージが付けられるのではないかと思います。
熱処理は本当に奥が深いです。この記事が、熱処理についてより深く知るための、そのきっかけとなれば幸いです!

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