【やさしく学ぶ】機械加工の基礎知識 表面処理編

表面処理

ものは見た目が9割

製造業の多くは、材料を加工して形を変えることをその主な仕事としています。つまり、工作機械を使って行われる様々な機械加工は、製造業の中心的な役割と言えるわけです。
これまでの記事(切削加工成形加工接合加工特殊加工)で紹介してきた機械加工は、上述のとおり、材料の形を変えることを目的としていました。
しかし、ものづくりは奥が深く、このように材料の形を変える加工のほかにも、材料の性質や特性を変化させる処理、というものもあるのです。

前回はその例として熱処理をご紹介しましたが、この処理は材料全体の特性を変化させることが目的でした。
このほかにも、材料の表面だけに処理を施して、耐摩耗性、耐薬品性、見た目の美しさ、滑りやすさ/滑りにくさ、などを変化、向上させるための「表面処理」があります。

今回はその表面処理について、主にどんなものがあるかを見ていきましょう。
※表面処理は細かな種類が多く、また資料や文献によって分類が違っていることもあります。本記事における分類、説明は当社スタッフの独自調査、経験、主観によるものですので、ご了承ください。

表面処理の種類

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1. めっき
2. 塗装
3. アルマイト
4. ショットブラスト

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1.めっき

めっき

対象となる材料の表面に、金属系の皮膜を付ける処理です。
薬液に材料を浸し、化学反応によって皮膜を形成する化学めっき、電解液に浸した材料と、めっき金属に電圧をかける電解めっきが代表的です。
化学めっきは、めっき液中に溶けているめっき金属イオンよりも、材料である金属のイオン化傾向の方が高い、つまりより電解液に溶けやすい場合に成立するめっきです。材料の表面が電解液に溶け、代わりにめっき金属が材料表面に析出します。全体が皮膜で覆われると材料の溶出が止まるため、めっきは自然と完了します。
電解めっきは、材料を陰極(マイナス)、めっき金属を陽極(プラス)として電圧をかけ、陽極から溶け出ためっき金属が材料である陰極表面に析出することで皮膜が形成されます。こちらは電圧をかけている間はめっき皮膜が厚くなっていきます。

2.塗装

塗装

主に樹脂系の塗料を材料表面に塗布する処理です。
液体状の塗料を直接塗り付ける流動性塗装と、粉末状の塗料を表面に付着させる粉黛塗装があります。
流動性塗装は、ローラーや刷毛、スプレーで塗り付けたり、塗料液体の中に漬けたりする方法があります。ローラーや刷毛は広い面を塗るときに適していますが、細かい箇所の塗装には向きません。また、ムラになりやすいので注意が必要です。スプレーで塗料を吹き付けると非常に均一にムラなく塗装できますが、塗料が周りに飛び散るため、専用の塗装ブース内で処理されることが一般的です。
粉体塗装は、静電気を帯びさせた塗料粉体を、逆極性の静電気を帯びさせた材料に付着させることで、隙間や裏側まで塗料が回り込んで、きわめて均一に塗装できることが特徴です。塗料は、材料ごと高温の炉に入れて溶かし、固定させます。

3.アルマイト

アルマイト

めっきの一種、とされる場合もありますが、本記事では別扱いとしました。
主にアルミの表面を腐食から守り、硬くするための処理として知られています。
電解めっきと異なり、材料であるアルミは陰極ではなく、陽極として配置されます。また、めっき金属の皮膜を付けるのではなく、アルミ自体を酸化させ、表面に不働態を形成させます。酸化アルミはそれ以上酸化せず、またアルミ単体よりも硬度が非常に高くなりますので、きわめて良好な表面状態を長く保つことができます。
薬液に色を付けることでカラーアルマイトとすることも可能です。
ちなみに、「陽極」として「酸化」させ、酸化アルミの「皮膜」を付けるということで、アルマイトのことを「陽極酸化皮膜処理」と書くことがあります。某スマートフォン外装の表面処理として、この呼び名が有名になりました。

4.ショットブラスト

ショットピーニング

図:ショットピーニング技術協会

細かい粒子状の物体を材料に高圧でぶつけ、表面を硬化させたり、マットな艶消し状態にしたり、表面の汚れや錆を除去したりするための処理です。
サンドブラスト、ショットピーニングと呼ばれる処理が代表的です。
サンドブラストと呼ばれる処理は、その名の通り砂粒をぶつけます。どちらかというと表面の硬化というよりは、マットな仕上げにするため、汚れや錆を取るために使われることが多いです。
ショットピーニングは小さな鋼球やガラス球をぶつける処理で、材料の強度や硬度を増すために使われる処理です。

~参考文献~
機械加工の知識がやさしくわかる本(Amazon)
機械材料学 社団法人日本材料学会
太陽パーツ株式会社
みんなの試作広場
株式会社ミヤキ
ショットピーニング技術協会

表面処理は見た目を整えつつ、材料としての耐久性を向上させる、一石二鳥の処理方法と言えますね。
塗装も表面処理の一種、と聞くと少し不思議な感じもしますが、錆を防ぐ塗装、傷を防ぐ塗装、というものもありますので、これも立派な表面処理なのです。

めっきとアルマイトは、電気化学処理としてかなり似ています。できるだけその違いが分かるように、何とか図で説明を試みましたが、ご理解のお役に立てたでしょうか。
この記事が、表面処理についてより深く知るための、そのきっかけとなれば幸いです!

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